西洋と日本が交わる軽井沢の歴史軽井沢が避暑地として歩み出したのは、明治19年(1886年)。カナダ人宣教師アレクサンダー・クロフト・ショーがこの地を訪れたことで、リゾート地としての歴史が始まります。以後、外国人宣教師や西洋のエリート、日本の上流階級や文化人が軽井沢に集い、西洋の薫り漂う別荘地へと発展していきました。西洋式の生活スタイルは、パンやジャム、テニスやゴルフなど様々な分野で発展していきます。そうした外国人避暑客らのニーズに応える形で誕生したものの一つが、軽井沢彫(かるいざわぼり)。深いブラウンの木地に美しい桜や葡萄の彫りが特徴的な家具です。日本人ならではの職人技に、西洋の様式美と機能性が融合したオーダーメイド家具。それが軽井沢彫です。軽井沢彫のここがすごい1. 軽井沢ならどの家にも必ずある!ダイニングテーブルや食器棚など大きな家具から、ちょっとした飾り椅子、箸置き、茶卓などの日用品まで、軽井沢彫には様々な製品があります。別荘はもちろん、地元の家庭にも必ず軽井沢彫があり、ひいおばあちゃまのドレッサー、おじいさまのロッキングチェアなど、三世代、四世代と時代を超えて受け継がれています。またひとつひとつ手作りしている高級品でもあるので、軽井沢では心を込めた贈り物や、大切な記念品として軽井沢彫を使うことも。写真立てやボンボニエールは、婚礼の引き出物にもよく利用されています。2. 美智子さまもご愛用上皇后美智子さまは1959年のご婚礼の際、軽井沢彫の手箱をお買い求めになられました。1977年に、美智子さまはご長女・清子さまとご一緒に、旧軽井沢にある軽井沢彫の専門店「大坂屋家具店」を訪れ、工房をご覧になられました。その際に、美智子さまはお針箱をオーダー。ご自身がスケッチをお書きになって、細かい仕様をお伝えになりました。今でも、大坂屋には当時の美智子さまのご様子や記念の写真が飾られています。3. 一流ホテルで使用される銘品日本を代表するクラシックホテルの一つでもある「万平ホテル」では、軽井沢彫の家具や小物が随所で使われています。レストランのメニュー立て、バーの看板、そしてクラシカルタイプの客室には軽井沢彫のチェストなどが使用され、伝統的な軽井沢の雰囲気を醸しています。また軽井沢の鹿鳴館と呼ばれた旧三笠ホテルにも、軽井沢彫の家具が数多く配置され、その中には初期軽井沢彫と言われる貴重な品も。4. 専門店はいずれも老舗ばかり現在、軽井沢彫の専門店は3店。創業130年を超える大坂屋家具店、1927年創業の一彫堂、そして戦後まもなく開業したシバザキと、いずれも長きにわたり軽井沢彫に携わってきました。また各店ともに工房を構え、彫り師と家具師、それぞれのスペシャリストが家具をひとつひとつ作っています。それぞれのお店で彫りの特徴や、塗りの材料などが異なるので、軽井沢の人はそれぞれに好みの軽井沢彫のスタイルがあります。「うちは代々、大坂屋」「我が家の家具は一彫堂」というように、各家庭でいきつけの店があるのも珍しくはありません。現代の暮らしに生きる軽井沢彫軽井沢彫はアンティーク家具との相性もよいので、ダイニングテーブルやチェア、食器棚など大きな家具を取り入れると、ぐっと雰囲気が上がります。オーダーメイドの特注家具は、一生モノの財産になるだけでなく、世代を超えて家族で受け継ぐ大切なシンボルにもなります。軽井沢彫は、軽井沢に暮らす人々にとって「避暑地の歴史を日々の暮らしに迎え入れる」ための大切なアイテムなのです。最たる老舗、大坂屋家具店五代目に聞く軽井沢彫の歴史を語る上で欠かせないのが、明治期に創業した大坂屋家具店。別荘族や文化人の顧客を抱え、西洋建築の邸宅に調和する調度品を作り上げで、軽井沢彫を避暑地の文化として定着させる大きな役割を果たしました。そんな老舗店の五代目、土屋さんは軽井沢彫の魅力は、ずばり「彫刻(装飾)」と語ります。「桜や葡萄の彫刻が入った家具や小物を見て、素敵なだなと思って頂いたり、懐かしんでくださったりするのは、他の家具にはない彫刻が「想い」を込めていくからだと思います。外国人別荘客の要望で軽井沢彫が生まれましたが、それから130年以上たった今でも、彫刻をし続けるのは彫刻には感動を生み出す力があるからだと思っています」そんな伝統工芸に新しい挑戦をし続けている五代目。グレージュの家具やコーヒーミル、スピーカーなど新しい軽井沢彫の商品開発やコラボなどにも力を入れています。「新しいことに挑戦する事が、ものづくりには大切であると思っています。」伝統工芸というと古くて良いというイメージがある反面、すごい技術だけど自分には必要のないものとも捉えられることが少なくありません。現代の生活にあったものを作ってお客様が欲しいと思って頂くためには日々新しい商品やサービスを提供する必要があると思っています。また働く私たちも同じものばかり作っていても面白みにかけてしまうので、自分達も楽しみながら新しいことに挑戦しています」老舗が伝授 軽井沢彫を取り入れるには…軽井沢彫りはとても個性が強い家具。昔の軽井沢彫家具はびっしりと彫刻が入っていて、家具をたくさん並べて、豪華さを演出していましたが、最近は他の家具と調和するデザインも増えています。「他の家具の中で、軽井沢彫があることでアクセントとなります。彫刻の良さを引き立てるような使い方がおススメです」と土屋さん。また照明や扉など、家そのものに軽井沢彫を取り入れるのもおすすめ。軽井沢彫を生かした家づくりを、ZEORESORTの建築でプランニングの段階から検討してみてはいかがでしょうか。軽井沢では、曾祖父母や祖父母が使用した軽井沢彫の家具を何度も修理して、後世へと繋いでいく習慣が続いています。避暑地の歴史と共に育まれた伝統工芸でありながら、家族の想い出を受け継ぐ身近な家具。軽井沢彫は今も静々とこの地に息づいています。※写真は全て大坂屋家具店の商品です。